インターナショナル・ビアコンペティション 2008 審査講評

インターナショナル・ビアコンペティション
審査委員長 田村 功

「インターナショナル・ビール・コンペティション2008」審査講評

                           審査委員長 田村功

 「インターナショナル・ビール・コンペティション2008」の審査は、824日午前10時より東京墨田区・すみだ産業会館で行われた。今回は、60社から175銘柄のビールおよび発泡酒が参加した。スタイル別の最多エントリーは、ボトル/缶部門、ドラフト/ケグ部門のいずれも南ドイツスタイル・ヘーフェヴァイツェンで、これにジャーマン・ピルスナー、ケルシュ、アルトが続いた。審査対象となったスタイル・カテゴリーは、ボトル/缶部門で38種類、ゲグ/ドラフト部門で36種類。例年のごとく、それぞれのスタイル・カテゴリーごとに「外観」「アロマ」「フレーバー」「ボディ」「全体印象」など5項目の評価をもって、金・銀・銅の3賞が競われた。

 地ビールの人気が高まるのに比例して、「インターナショナル・ビール・コンペティション」に出品されるビールは、数の点でも種類の点でも増えているが、同時に品質の向上も著しい。今年も、それぞれのスタイル基準に合致したビールが数多く出品された。

 特に注目すべきは、各メーカーが、スタイル基準内で、それぞれが異なる特徴を出す努力が見受けられたこと。例えば、ライトボディを特徴とするスタイル基準に合致したビールでも、スッキリ感をはっきり強調したビールと、若干ミディアムボディ寄りにしながらも全体のバランスをライトにまとめたビールなどがあり、こうした微妙な差によって審査員の評価の分かれ、議論を白熱させた。

 また、以前までのようにホップを多く用いてアロマや苦味だけを特徴としたインパクトのあるビールが減り、特徴を抑えて全体のバランスをとった飲みやすいビールが増えたことも、今年の特徴である。しかし、「飲みやすさ」を意識しすぎて、地ビールらしい個性の主張が後退した感じは否めない。風味のバランスをしっかりと取りつつも、スタイル規準の範囲内で独自の特徴を打ち出したビールがもっと多く出てきてもよいのではないだろうか。

 ともあれ、ビールは生き物であり保管条件によって日々味が変化する中、審査日にこれだけ多くのビールがバランス良く仕上がって出品されたことから、各メーカーの味に対するこだわりが非常に強く感じられた。そのこだわりこそが、地ビールの愛好者を増やし、地ビールを扱うビアパブの増大につながっているのではないだろうか。

 今回もビールをご出品いただいたビールメーカーならびに販売会社の各位には、心からお礼を申し上げる。また、ボランティアでビールの審査に参加してくださったブルーワーやジャッジの皆さん、準備・進行・管理にあたってくださったディレクターの方々には厚く感謝の意を表したい。

以上

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